副腎疲労から回復する為の栄養について2回目となる今回は「脂質」についてです。
摂取する脂質の質を変えることで、副腎の負担を減らし回復をサポートできるようになります。
もくじ
脂質とは
脂質とは、水に溶けずに有機溶媒に溶ける物質で、″脂肪酸″を含むものを脂質という。
一般に脂肪と呼ばれる言葉には中性脂肪に使われますが、医学的には脂質という言葉で用いられます。
脂質は中性脂肪の他に、細胞膜を構成する「リン脂質」、脳・神経組織に多い「糖脂質」、ホルモンの原料となる「コレステロール」なども脂質からできています。
油と脂
アブラには「油」「脂」がありますが、
油(Oil)は「常温で液体のもの」
脂(Fat)は「常温で固体のもの」
を指します。
体における脂質の役割
糖質やタンパク質と同様に身体のエネルギー源となるほか、
- 細胞膜の構成要素
- 炎症と抗炎症に関与
- 脂溶性ビタミンの吸収
などが挙げられます。
普段どんな油をとっているか?
副腎疲労からの回復にとって、特に重要なのは「炎症」と「抗炎症」に働く薬理的な作用をもっているということです。
これは、摂る脂質(脂肪酸)の種類によって決まっています。
摂る脂質によっては、体が炎症体質となりますし、反対に炎症を鎮めて副腎の負担を軽減することもできるわけです。
脂肪酸の種類
脂質は脂肪酸と言うものの種類によって質が変わります。
それぞれの脂肪酸は代謝される過程で産生される物質により、炎症を誘発・亢進もしくは抑制に働きます。
- 飽和脂肪酸:炎症誘発
- 一価不飽和脂肪酸(オメガ9脂肪酸):熱に強い
- 多価不飽和脂肪酸(オメガ6脂肪酸):炎症亢進
- 多価不飽和脂肪酸(オメガ3脂肪酸):炎症抑制
摂るべき脂肪酸
体内の炎症を抑制に働く「オメガ3系」の脂肪酸が摂りたい脂肪酸であり、青魚やアマニ油、えごま油に多く含まれています。
しかし、オメガ3系の脂肪酸は熱に弱く調理には向かないため、調理用にはオリーブオイルなどのオメガ9系を用いるのがオススメです。
過剰な摂取を控えるべき脂肪酸
反対に、動物性脂肪である飽和脂肪酸や、サラダ油などリノール酸を多く含む「オメガ6系」の脂肪酸は過剰に摂取することにより炎症を引き起こすことが知られているため控えるべき脂肪酸となります。
スーパーの惣菜コーナーにある、唐揚げや天ぷら、ポテトフライなどもオメガ6系のサラダ油が使用されています。
過剰な精製糖も炎症を引き起こす
栄養編①で精製糖を避けたい理由に「中性脂肪の肥大化による炎症誘発」を上げていました。
糖質は代謝過程において、グルコースなどの単糖類という形まで消化して血管へ吸収され血糖となり各組織に運ばれてエネルギー源となります。
余った、グルコースは肝臓においてグルコースをまとめたグリコーゲンという形で貯蔵され備蓄に回りますが、それでも糖質摂取が多く貯蔵容量を超えて余ってしまった場合には、中性脂肪に置き換えられてしまいます。
そのため、精製糖のような糖質を日常的に過剰に摂取していると、糖質が余り過ぎて中性脂肪が大量に作られてしまいます。
そして、中性脂肪の過剰はそのまま脂肪細胞の肥大化(肥満)を招きます。
実は、肥大化した脂肪細胞には、炎症を引き起こすタイプのマクロファージ(白血球の一種)を誘導することが分かっています。
つまり、精製糖の過剰摂取していると、中性脂肪が大量に作られ、脂肪細胞の肥大化を招き、その結果、炎症を引き起こす原因となってしまいます。
また、飽和脂肪酸の過剰摂取も中性脂肪の増加に繋がります。
慢性炎症は副腎疲労の原因
副腎から分泌されるホルモンである「コルチゾール」には炎症を抑える作用があり、体のどこかで炎症を起こしていると分泌されます。
リノール酸や飽和脂肪酸過剰な食生活を続けていると慢性的に炎症を起こしてしまい、絶えず副腎からコルチゾールを分泌しなければならず過剰な負担がかかります。
慢性炎症が長期間続けば、次第に副腎も疲弊してしまいコルチゾールが分泌できなくなり副腎疲労となってしまいます。
現代の食生活では知らず知らずのうちにオメガ6系の脂質が多くなってしまいがちです。
しかし、オメガ6系もオメガ3系の脂質も、必須脂肪酸とばれ体内では作ることが出来ないため食事を通して摂取する必要があるので問題となるのは量と言えます。
ですが、副腎疲労となっている方は、すでにカラダのどこかに慢性炎症を抱えていると言われています。
そのため、普段の生活から飽和脂肪酸やリノール酸の多い脂質の摂取を控え、オメガ3系の脂質を摂ることで炎症を鎮めて副腎のサポートをしてあげる食生活を意識していきましょう。