肩関節周囲炎(五十肩)

五十肩の治療は、病期の把握とその病期に合わせた治療戦略の組み立てが重要であり、痛みや可動域制限には鍼灸(はりきゅう)治療が有効です。
鍼灸治療は、五十肩のどの病期にも活用する事が出来、運動療法と組み合わせることで根本的な解決や再発の予防に効果を期待できます。

正式名称と原因

五十肩は50歳代を中心としてその年代に多発する為、そう呼ばれますが、正式には肩関節周囲炎と言います。

原因は明らかではありませんが、加齢に伴う関節周囲の組織の劣化を基盤に、微細な刺激が継続的に加わることで肩を動かす筋肉や周囲の組織に炎症が起こるとされており

とくに猫背などの不良姿勢は、関節や肩甲骨の位置が本来の場所からズレてしまうことで、肩周囲の筋肉や組織に負担がかかりやすいと考えられます。

症状としては、肩関節の痛みと運動制限が主で、初期はじっとしていても疼く痛みや夜間の痛みが特徴的で次第に関節の可動域制限もでてきます。

肩関節周囲炎(五十肩)の病期

肩関節周囲炎(五十肩)には大きく3つの期間があります

疼痛期

肩関節周辺に炎症があり、痛みが強い時期(安静時痛、夜間痛を伴う)
期間は2週間から1か月

疼痛期のマネジメン方法:安静と肩関節のポジショニングが重要

拘縮期

肩関節周辺組織の硬さから可動域制限が著明になってくる時期(動作時の痛み)
期間は1〜3ヶ月

拘縮期のマネジメント方法:痛みをコントロールしながら関節運動を行う
痛みのコントロールに鍼灸治療が効果的

回復期

痛み可動域ともに回復してくる時期
期間は3ヶ月以上

回復期のマネジメント方法:積極的な関節運動を行う(随時、鍼灸治療で痛みのコントロール)

それらの時期を経て、一般的にはトータルで6か月〜24か月ほどで治癒するとされていますが、中には日常生活に支障のない範囲で機能障害(軽度の痛み、違和感、可動域制限)が残る例もあるようです

肩関節周囲炎(五十肩)の施術方針

疼痛期は、じっとしていても疼く痛み(自発痛)や夜間の痛みが強いとその分、可動域制限も著明になる傾向があり、良好な結果を得るためには、痛みの部位が限局していて比較的軽度な時期に治療を行うことが大切です。

炎症が強く、自発痛・夜間痛がひどい場合は疼痛部位に鍼灸治療を行うとかえって痛みの増強を招いてしまうこともあるため、肩甲骨周囲の筋肉や全身の緊張を緩めるような治療を行い、日常生活の質を高めることを優先します。

また、炎症を抑えるには交感神経を鎮めなければなりませんが、疲労が過度に蓄積していると交感神経も優位となりやすく、なかなか炎症を抑えることができなくなるので疲労をため込まないことも大切です

拘縮期は、鍼灸治療が最も活躍するタイミングであり、疼可動域を拡大する為の運動療法を行いやすくする為の痛みのコントロールを行います。

当院では、痛みのコントロールから運動療法まで行うことができ、さらに、脊柱(背骨)の動きや呼吸を整えるエクササイズを行うことで、姿勢を調整し根本から肩への負担を減らす体創りを行っていきます。