鍼灸の効果

鍼は痛みに効果的

 鍼灸は、東洋医学の一つであり、飛鳥時代に中国から伝来してから明治初期まで漢方と並び、医学の主流だった伝統的な治療法です。
 ですが、西洋医学の伝来によって次第に衰退し、医学の主流からはずれてしまいました。

 しかし、近年、公的な医学研究所・医科大学、鍼灸大学、医療機関等で科学的な実験や研究がなされ、少しずつ鍼灸医学の効果が証明されてきています。

例えば、
○肩こり・腰痛、頭痛などの整形外科領域
○胃もたれ、便秘・下痢などの内科領域
○生理痛、冷え性、更年期障害など婦人科領域
○イライラ、不眠、動悸などの心療内科領域

など幅広い分野の疾患の治療に応用されていますが、とくにそれらの領域のなかでも「痛み」に対しての効果が分かってきています。

痛みを止める方法はいくつかあります
○鎮痛メカニズムを活性化させる
 ・疼痛局所(痛い部位)に対して
 ・脊髄分節性(一定のエリア)の痛みに対して
 ・脳レベル(全身性)の痛みに対して
○それ以外
 ・筋肉の緊張を緩める
 ・血流を良くする
 ・交感神経の抑制

順に説明していきます。

鎮痛メカニズムを活性化させる

痛みは体に異常事態が起きていることを知らせるアラート(警報)の役割を持っています。

警報のため、異常事態を知らせたらスイッチは切れてくれないと困ります。なので、体にはあらかじめ警報のスイッチを切る(痛みを止める)為のメカニズムが備わっており、鍼灸の刺激はそのメカニズムを活性化させることで鎮痛効果を得ています

以下に例を挙げていきます

【疼痛局所(痛い部位)に対して】

・オピオイド受容体を介したメカニズム
お灸の刺激や、鍼でごく軽微な刺激を与えると、免疫細胞からオピオイドと呼ばれる痛みを抑制する物質を放出させ、痛みを鎮める

・アデノシンA1受容体を介したメカニズム
鍼を刺入してそこから動かすような手技を行うことによって、微細な組織の損傷を起こすと、ATP(アデノシン三リン酸)が細胞から漏出。分解されたアデノシンは、痛みを感じるセンサーに存在するアデノシンA1受容体と呼ばれる場所に作用して痛みを鎮めてくれる

【脊髄分節性(一定のエリア)の痛みに対して】

痛みを起こす刺激は、痛みを伝えるセンサーから背骨の中にある脊髄を通って脳に伝わることで痛みを感じます。腕の外側や、下肢の後面など痛みが一定のエリアに広がっている時は、そのエリアに対応した脊髄レベルの鎮痛メカニズムを活性化する必要があります

・ゲートコントロール説
触圧覚(圧迫や触れる感覚)を伝える神経線維は痛みを伝える神経線維よりも太く、伝達速度もより速く脊髄に到達する性質があります。
そのため、痛みのあるところやその反対側、脊髄神経の支配エリアに対して、置鍼(鍼を留める)や接触鍼(刺さない鍼)などで触圧覚刺激をすることで痛みを脊髄に伝えにくくする方法です

【脳レベル(全身性)の痛み対して】

疼痛局所で生じた痛みは最終的に脳に集約されます。全身に症状が出現しており、かつ感情や交感神経の亢進などで痛みが強くなっている場合は脳レベルの鎮痛メカニズムを使うことが必要です

・下行性疼痛抑制系の活性化
体のあらゆる部位を刺激することで、脳から鎮痛物質を放出されるメカニズムです。このメカニズムを活性化するためには、ある程度刺激が必要であるため、鍼通電やいわゆるズーンとくる「響き」を伴う鍼の刺激を使います。とくに肘から下や、膝からしたのエリアを刺激するほうがこのメカニズムを活性化しやすいと考えれています。

鎮痛メカニズム以外

鎮痛メカニズムを活性化させる以外にも

・筋肉が凝って痛い部位に対して、鍼で筋肉や腱にある緊張を検知するセンサーを刺激することで、筋肉が緩んで痛みが緩和される〈Ⅰa、Ⅰb抑制〉

・鍼をした部位に起こる血流が改善される反射を使って、血流を改善し発痛物質を洗い流す〈軸索反射〉

・緊張しやすい、抗重力筋と呼ばれる筋肉の緊張を緩めることで交感神経を抑制し、副交感神経優位となり体をリラックスさせて痛みを軽減する
〈自律神経調節〉

などがあり、患者様の身体の状態や程度に合わせてどのメカニズムを使うかを取捨選択していきます。

輔-task-鍼灸院では、鍼灸治療によって痛みを緩和するだけでなく、痛めてしまう体の使い方や、動きの癖も修正することで早期回復や再発予防、日々のコンディショニングまでサポートしていきます。