副腎疲労から回復する為に最初に行うべきことは「食生活の改善」です。
なぜなら、現代人の食生活は副腎に負担をかける食品を選択しがちであり、さらには副腎から分泌されるホルモンの材料となる栄養素が不足した「質的な栄養不足」の状態となっているからです。
もくじ
副腎に負担をかける食生活とは
副腎に負担をかける食生活とは、ファストフードや食の欧米化に代表されるような「高脂肪食」や清涼飲料水などに含まれる「精製糖」、あるいはパンなどの小麦製品、牛乳・ヨーグルなどの乳製品の過剰摂取が挙げられます。
当院に来られる患者様の中にも
朝食はパンとカフェオレやヨーグルトのみ、もしくは食べない。
昼食は丼ものやパスタ、惣菜パン。
夜はスーパーなどで購入した惣菜。
のような糖質と脂質が中心の食生活をされている方が多くいらっしゃいます。
偏った食生活で炎症を起こす
なぜ、糖質と脂質が中心の食事や小麦製品、乳製品が副腎に負担をかけるかと言うと、それらの過剰摂取は体内で「炎症」を引き起こすからです。
精製糖と高脂肪食の過剰摂取
糖質や脂質は体にとって貴重なエネルギー源ですが、必要とされる以上に摂取されると中性脂肪に置き換えて体内に貯蔵し、新たに必要になったときに分解してエネルギー化しています。
しかし、精製糖や高脂肪食の過剰摂取を続けていると、次第に中性脂肪が増加・肥大していきます。(肥満)
この肥大化した中性脂肪には、炎症を引き起こすタイプのマクロファージ(免疫細胞)を誘導する性質があり、炎症性マクロファージが炎症物質を放出するこで周囲に炎症を起こすことが分かっています。
小麦製品や乳製品の過剰摂取
小麦製品には、グルテンと呼ばれるたんぱく質の一種を含んでおり、このグルテンが分解されていくと、ゾヌリンと呼ばれるタンパク質が分泌されます。
このゾヌリンが腸の細胞同士を強固にくっ付ける「タイトジャンクション」と呼ばれるバリアシステムを破綻させて、まだ消化されていない食品成分が体内に侵入してしまい、未消化の食べ物が体内に入ってくると免疫細胞が異物として捉えて炎症反応が起こってしまいます。
乳製品は、牛乳に含まれるタンパク質の一種「カゼイン」が上記のグルテンと同様に、タイトジャンクションと呼ばれる腸のバリアシステムを破綻させ炎症を引き起こします。
炎症を鎮める「コルチゾール」
偏った食生活によって引き起こされた炎症を鎮める為に使われるのが、副腎から分泌されるホルモン「コルチゾール」です。
コルチゾールは抗炎症効果が非常に強いので体内で炎症が起こるとすぐに分泌され炎症を鎮めてくれます。
ですが、長期的に偏った食生活を続けていると慢性的に炎症が起こっている状態になるため、副腎は常にコルチゾールを分泌しなければならず負担を強いられるのです。
質的な栄養不足が副腎疲労を強める
副腎はコルチゾールによる抗炎症の働き以外に、血糖や血圧の調整、回復力、耐久力、エネルギー供給など「生命力」そのものを支える重要なホルモンを分泌する機能を備えています。そのため、私たちが健康に暮らせるかどうかは副腎が正常に働けているかに大きく左右されていると言っても過言ではありません。
普段から、副腎に負担をかけているとそれらの機能を維持することが困難となり「副腎疲労」と呼ばれるような状態となってきます。
さらに、上記のような偏った食生活は、カロリーとしては一日の必要量を十分に満たしていることは多いのですが、たんぱく質、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどの栄養素は十分に摂れていない為、これを「質的な栄養不足」が起こっていると表現します。
質的な栄養不足を起こすと、壊れた細胞を修復したりコルチゾールをはじめとするホルモンを作ったりすることもできなくなってしまうため、副腎疲労をより強めてしまう結果となってしまいます。
このことから、副腎疲労からをする為に最初に行うべきことは食生活の改善となってきます。
具体的な食生活の改善方法などについては過去の記事でもご紹介しておりますので併せて読んでみてください。