疲労と栄養

油を変えて疲れを取る

睡眠時間は十分確保したはずなのに、朝起きるのが辛い。

体もバキバキに固まってすぐには動きだせない。

そんな経験はありませんか?

実は、寝ても取れない疲れの原因の一つに「摂る油の種類」が関係していることがあります。

【疲れと炎症と交感神経】

一日の疲れを取るためには睡眠が欠かせません。

通常、寝ている時は自律神経のうち「副交感神経」と呼ばれる体をリラックスさせる神経が優位となり、疲労回復を促すホルモンなども分泌されます。

しかし、体のどこかに「慢性的な炎症」を抱えていると脳は体が危険な状態だと判断し、睡眠中でも体を緊張、興奮させる「交感神経」を優位に働かせてしまいます。

すると、たとえ十分な時間睡眠を取ったと思っても、夜間常に体は緊張していたわけですから疲労回復はできていません。

そのため、睡眠で疲労回復を図る際には

いかに慢性的な炎症と交感神経の働きを鎮め、副交感神経を優位に出来るか?がポイントとなってきますが、そもそもなぜ慢性的な炎症が起こってしまうのでしょうか?

その原因の一つとして、「摂取する油の質」があります。

【油の種類を選ぶ】

油は栄養素としては「脂質」として代謝・吸収されて、細胞を覆う膜「細胞膜」の成分となったり、ホルモンの原料や細胞間の情報伝達物質などに使われます

普段、「焼く」「炒める」「揚げる」などの調理をする際にサラダ油(コーン油やひまわり油なども含む)を使用することが多いのではないでしょうか?

また、外食やスーパーの惣菜コーナーでよく目にする、唐揚げやポテトなどの揚げ物にもサラダ油は使用されています。

このサラダ油にはリノール酸と呼ばれるオメガ6系の脂肪酸に分類されます

このリノール酸は、体内では作ることができない必須脂肪酸と呼ばれるものであり、食事を通して摂取する必要があるのですが

実は過剰に摂り過ぎることによって代謝過程で炎症を引き起こす物質を産生してしまうことがわかっています。

そのため、リノール酸を含む油を過剰に摂取すると体が炎症を起こしやすい体質となってしまう可能性があります。

【どんな油を選べば良いのか?】

では、代わりにどんな油を選べば良いのでしょうか?

それはオメガ3系の油です。

オメガ3系に分類される油で代表的なものは、青魚などに含まれるDHAやEPA、えごま油、亜麻仁油などです

これらオメガ3系の油は、炎症を引き起こしやすいリノール酸とは逆に、炎症を抑制してくれる効果がある為、積極的に摂りたい油となります。

しかし、亜麻仁油は熱に弱い性質がある為、炒めるなどの調理には不向きであり、バルサミコ酢などと一緒にサラダにかけて食べるのがおすすめです。

もし、焼く・炒めるなどの調理用に油が必要な場合はサラダ油の代わりにオリーブオイルを使用することをおすすめします。

オリーブオイルはオメガ9系ですが、不飽和脂肪酸でありリノール酸を含まず、熱にも強い性質があるので安心して使えます。

【オメガ6系の油を減らす】

ここまで、サラダ油などリノール酸を含むオメガ6系の油を過剰に摂取してしまうことで体が炎症を起こしやすい体質になってしまう為、オメガ6系の油を減らしオメガ3系の油を摂りましょうと書いてきましたが

オメガ6系もオメガ3系もどちらも必須脂肪酸なので、リノール酸を含むオメガ6系が絶対悪ではなく、量の問題だと言うことを再確認していただけたらと思います。

現代の食生活では、知らず知らずのうちにオメガ6系の脂肪酸が多くなってしまいがちですので、是非普段から減らすことを意識して

みてください。

そうすることで、慢性的な体の炎症と交感神経の興奮を鎮めて、睡眠中に副交感神経が働くようになり疲労回復を促進する一助となってくれるはずです。

ABOUT ME
恩田陽輔
鍼灸師。 慢性的な不調や痛みは、疲労の蓄積による回復力を失っている状態と考え、鍼灸治療だけでなく疲労を取り除くためのストレッチやエクササイズ、栄養の知識なども治療プログラムに組み込んで提供しています。 【認定、修了】 ・FMS/SFMA ・Reformer For Motor Learning ・臨床ドライヘッドスパ協会認定