- 日常生活に支障がでるほどの強い疲労感があり、少なくとも6か月以上の間、持続ないし再発を繰り返す
- 微熱が続く
- 喉の痛みやリンパが腫れている
- 物忘れや集中力の低下
- 眠れないや起きれないなど睡眠障害がある
- 慢性的な疲労感の原因となる病気がない
などのような日常生活にも支障をきたすほどの疲労感と症状がある場合、
「慢性疲労症候群」が疑われます。
これは、単なる疲労とは違い、十分に睡眠をとっていても回復されません。
日本では30〜40万にほど患者がいるとされており、女性に多いと言われています。
慢性疲労症候群とは
身体診察や臨床検査で客観的な異常が認められないにも関わらず、日常生活が送れないほどの強い疲労感と上記のような症状が慢性的に続いている状態のことを言います。
慢性疲労症候群の原因
原因については、ウィルス感染、内分泌異常、免疫異常、代謝異常、自律神経失調など様々な説が検討されていますが、いまだハッキリとしていません。
発症のメカニズム
メカニズムとしては下記のように考えられているようです。
最近の研究によりCFS患者でみつかってきた種々の異常はそれぞれ独立して存在しているのではなく、お互いに密接に関連していることが明らかになってきた(図1)。すなわち、CFSは種々の環境要因(身体的・精神的ストレス)と遺伝的要因によって引き起こされた神経・内分泌・免疫系の変調に基づく病態であり、NK活性低下などの免疫力の低下に伴って潜伏感染していた種々のヘルペスウイルスの再活性化が惹起され、これを制御するために産生されたTGF-βやインターフェロン(IFN)などのサイトカインが上述のような脳・神経系の機能障害を生じているのではないかという仮説を考えている。
慢性疲労症候群に陥るメカニズム (fuksi-kagk-u.ac.jp)
最終的には脳・神経系への血流低下による機能障害とのことです。
最近では、新型コロナウイルスの感染後に慢性疲労症候群を発症したとの記事を見かけることも増えています。
このことから、
ストレスや生活習慣による免疫力の低下
↓
ウィルス感染、再活性化
↓
免疫応答の異常
↓
脳・神経系への血流低下
↓
脳神経系の機能障害
という流れが想定されます。
慢性疲労症候群に対する施術方針
慢性疲労症候群から回復するには、単に疲労を強く感じている部位への施術だけでなく、軽い運動や栄養アドバイスなどの生活習慣への介入し免疫力を高めることと
身体的・精神的なストレスを極力避けるなどの生活環境も含めた包括的な視点が必要となってきます。
また、慢性疲労症候群の方は、息切れがすることが多く、呼吸が浅く速くなり体が過緊張状態にあります。
呼吸エクササイズ
当院では、慢性疲労症候群の方に対して、温かく気持ちよいお灸などを用いて、疲労感の改善と過緊張を抑制すると同時に呼吸エクササイズを行います。
呼吸エクササイズは機能低下を起こしている脳に酸素という栄養素送り届ける為に行います。
酸素をたくさん吸っても酸欠になる⁉
近年、新型コロナウイルスの影響により、血中酸素飽和度を測るパルスオキシメーターが一般的に知られるようになりましたが、実は血中酸素飽和度が98%以上あっても、脳の神経細胞に酸素が届いているとは限りません
血中の酸素は赤血球と一緒になって体の隅々まで行き渡っていますが、実は一定の二酸化炭素濃度がなければ酸素は赤血球から離れて細胞に渡ることが出来ません。これを「ボーア効果」と呼びます。
呼吸が浅く速い人は、頻繁に酸素を取り込み、二酸化炭素を吐き出しており血中の酸素濃度は高くても二酸化炭素が少なくなっているために、細胞に酸素が渡らないということが起きます
そのため、細胞に酸素を送り届けるには意識的に呼吸量を落としていき、血中の二酸化炭素濃度をある程度保つような呼吸を行うことが必要となってきます。
呼吸エクササイズによって、「脳」のエネルギー源となる酸素を十分量供給できると脳・神経系の機能障害を改善し、慢性疲労性症候群からの回復を目指せます。
そのうえで、軽負荷の運動や栄養指導なども加えて包括的にアプローチをすることで慢性疲労症候群からの回復が促進されてくると考えています。