疲労が溜まってきた時に感じる症状の代表格である「肩こり」
ほぐしても、ほぐしてもすぐ元に戻ってしまう。そんな頑固な肩こりに悩んでませんか?
肩こりは多くの場合、凝っている部分をほぐすだけでは良くなりません。
それは、肩こりは結果であり原因ではないからです。
他に原因があり、首・肩の筋肉に負担がかかることで結果として「肩が凝る」のであり、その結果を引き起こした原因を見つけ、対処しないことには肩こりは治りません。
その原因は色々ありますが、治療に来られる方で最も多いのは「姿勢」に原因があると考えられる方です。
頑固な肩こりを持っている人に見られる特徴的な姿勢は「頭部前方位姿勢」と呼ばれる姿勢です。
「頭部前方位姿勢」とは読んで字のごとく、頭が前に出てしまっている姿勢の事ですが
頭の重さは5〜6kgあると言われており、体に対して頭が前に出ていると常に5〜6kgの重さを首・肩の筋肉で支えなければならない為、筋肉が凝ってしまうのです。
この頭部前方位姿勢をどうにかしなければ、肩こりも良くならない訳ですが、
改善のためには頭を前に行かないようにアゴを引いておけば良い という単純なことではありません。
なぜなら、頭を前に出さないような姿勢を24時間常に意識をしておくという事はほぼ不可能だからです。
姿勢は本来、脳など中枢神経により、動作や環境に合わせて無意識に安定しやすい姿勢を選択しているからです。
脳が姿勢を無意識に保ってくれるからこそ、私たちはほかのことに集中して作業がおこなえます。
もし、常に意識をして姿勢を保たなければならなかったとしたら、転倒しないようにするだけで精一杯となってしまい、とても作業できる状態ではなくなってしまうでしよう。
無意識に姿勢を保ってくれるのは非常にありがたい事なのですが、
ここで大切なのは、脳は「姿勢を保つ」という課題を無意識に遂行してくれますが、それは必ずしも最も効率の良い方法でおこなうかと言うと、「そうではない」という事です。
脳は課題に対して、自分の体の中で「使えるものしか使わない」ため、たとえ首・肩の筋肉に大きな負担を強いる非効率な姿勢であっても自分の体がその態勢しか取れないのであればその姿勢を選択します。
そうして選択された、姿勢の1つが「頭部前方位姿勢」なのです。
そんな理由で、頑固な肩こりを治すためには、凝っている筋肉をほぐしても、アゴ引く意識をしていても意味がなく、頭部前方位姿勢をとらざるを得なくなった原因に対処しなければなりません。
真にやらなければならない事は、「体の使える部分を増やし」、脳に「頭を前に出さなくても体を支える姿勢が取れること」を教えてあげることなのです。
まとめ
①肩こりは結果であり、原因ではないので凝っている首・肩の筋肉だけをほぐしてもすぐに元に戻ってくる
②原因の1つは「頭部前方方位姿勢」であるが、姿勢は脳が無意識にコントロールしているので、常に意識して頭を戻しておく事は不可能
③脳が選択する姿勢は必ずしも効率的な姿勢とは限らず、使える所だけを使って姿勢を決定する
④頭部前方位姿勢を治すには、カラダの使える部分を増やして、脳に頭を前に出さなくてても体を支えられる姿勢を取れることを教えていくことが必要。