いくら肩を揉んでも治らない”ひどい肩こり”の原因は「フォワードヘッド」と呼ばれる不良姿勢が考えられます。
肩こりは筋肉が姿勢を保つために常に緊張して疲労したり、血行不良を起こしたりした結果、痛みや重ダルさとして現れてきます。
フォワードヘッドとは日本語では「頭部前方位」と言われ、文字通り頭が前方に位置している状態(姿勢)のことを指します。
頭が正常な位置よりも前方にズレてしまうことで、頭を支える筋肉やその周囲の血管、神経に過剰な負荷が加わって痛みや重だるさを引き起こします。
そのため、いくら凝っている筋肉を揉んだりマッサージしても治らない”ひどい肩こり”を改善するにはまず「フォワードヘッド」を改善する必要があります。
もくじ
フォワードヘッドによる首肩への負担
頚部の負担の増大で言うと、頭の重さは成人で約6㎏ほどあると言われており、首肩の筋肉がこれを支えていますが、頭を前に5㎝突き出すと約2倍の負担が掛かり、10㎝前に突き出すと約4倍の負担が首に掛かると言われています。
さらに、首を前に15度ほど傾けることで約2倍の負担が首に掛かり、30度では約3倍、45度で約4倍の負担が掛かるとの報告もあります。
私たちが普段スマホを見ている時はまさに、頭を突き出し、さらに前に傾ける姿勢をとっており、日常的に頚部へ計り知れない負担を掛けていることになります。
頭を支える重要な筋肉「後頭下筋群」
頭を支える筋肉は、多数ありますがその中でも「後頭下筋群」はとりわけ重要な筋肉と言えます。
後頭下筋群は、後頭部の付け根で首との境目にある、大後頭直筋、小後頭直筋、上頭斜筋、下頭斜筋という4つの筋肉の総称です。
以前、NHKの番組でも首こり・肩こりの原因として後頭下筋群が取り上げられたこともあります。
後頭下筋群は、頭を支えて位置を細かく調整してくれるだけでなく、眼球運動にも連動して働いており視覚のサポートもしてくれています。
フォワードヘッドに加えて、スマホやパソコン、タブレットなどデジタルデバイスを多用することによって後頭下筋群への過剰な負担が掛かることで、頑固な首肩のコリや眼精疲労を引き起こしてしまいます。
後頭下筋群
大後頭直筋
小後頭直筋
上頭斜筋
下頭斜筋
フォワードヘッドによる影響
フォワードヘッドになる事での体への影響は、首肩こりだけでなく以下のように多数あります。
- ストレートネック
- 顎関節症
- 口呼吸
- 頭痛
- バランス感覚低下
- 顔面形成
- 睡眠の質低下
- 免疫力低下
- 眼精疲労
フォワードヘッドを改善するには
ひどい肩こり、首こりをはじめ上記のような症状を改善するにはまず、フォワードヘッドの改善が不可欠となります。
では、フォワードヘッドはどのように改善すればよいのでしょうか?
緩めて鍛える
要素としては、
①硬く緊張している部位は緩めること
②働けていない部位に刺激を入れて働かせること
この2つが必要となってきますが、フォワードヘッドは不良姿勢の一つであり、姿勢の悪さはどこか一つの部位を緩めたり鍛えたりすれば良くなるものではありません。
少なくとも頭は体幹、肩甲骨、首の3部位に支えられているためそれらに対してアプローチしていくことが必要です。
改善する順番
順番としては、
後頭下筋群をはじめとした首肩の緊張した筋肉を緩める
↓
体幹を安定させる
↓
肩甲骨と胸郭の安定性と可動性を高める
↓
頸椎の正常な前弯(カーブ)をつくる筋肉に刺激を入れる
が効率的な介入だと考えており、それには治療と運動の併用が必須となります。
最初に筋肉の緊張や痛みがあれがそれらを取りのぞかなければ、運動の質が落ちるので、最優先でやることになります。
その後、土台となる体幹 → 胸郭・肩甲骨 → 頸椎の順番に頭を支えく足場をしっかり下からを作っていくイメージです。
治療と運動どちらか一方では片手落ち
緊張している筋肉を緩めるだけでは片手落ちです。
今回の話でいえば頑固な肩こりの原因となっているフォワードヘッドを改善するために後頭下筋群を緩めるだけでは十分ではありません。
反対に、ひたすら闇雲に運動だけしていても改善は難しいでしょう。
どこに問題があって、どこを緩めて、どこを鍛えるのか。そこを見極めて適切な介入をすることではじめて改善されてきます。
輔-task-鍼灸院では鍼灸による治療に加えて、ピラティスなどの運動療法も施術に組み込んでおり、フォワードヘッドを改善するための知識とスキルと環境を有しております。
ひどい肩こりに悩む方は一度ご相談ください。