副腎疲労や慢性的な疲労状態から回復する為には亜鉛の充足が必要です。
亜鉛は全身の細胞内に存在しており、免疫や正常なタンパク質やDNAの合成に必要な栄養素です。
とくに脳の海馬と呼ばれる場所には高容量で含まれており、海馬のある大脳辺縁系はストレスを受けた際に放出される抗ストレスホルモンである「コルチゾール」の量を調節して副腎が適切に働けるようにしてくれています。
亜鉛不足は海馬の萎縮につながり、機能低下を起こし、コルチゾールの分泌に抑制が効かなくなってしまい、結果として副腎疲労や慢性疲労を長期化させてしまいます。
また、肉魚をあまり食べない方やアルコールを多飲する方はとくに亜鉛が不足しやすいため意識して摂るようにしましょう。
もくじ
海馬とコルチゾール
海馬は大脳辺縁系と呼ばれる部位で、ストレス反応によってる放出される抗ストレスホルモンである「コルチゾール」が必要以上に放出されないように調節をする働きの一端を担っていると考えられています。
しかし、現代人は食生活の偏りを始めとした生活習慣の乱れや常にストレスをうけることで、コルチゾールをいつも放出している状態です。
通常、海馬にはコルチゾールのレセプターがあり、コルチゾールが十分に出たら、過剰に放出されないようにフィードバックをかけます。
しかし、あまりに長期間コルチゾールに晒されると神海馬の神経細胞はダメージを受けてしまい機能低下をおこしてフィードバックをかけられなくなってしまいます。
さらに、海馬には記憶と関連し、認知活動と密接に関係するとされており、海馬の機能低下は「物忘れ」なども引き起こされます。
亜鉛で海馬をサポート
亜鉛を充足させる事で海馬の機能をサポートし過剰なコルチゾールの分泌を抑制できます。
コルチゾールの分泌を適切に調節できると、副腎の負担が減り、海馬へのダメージも軽減させることが期待できます。
亜鉛の摂取基準量
亜鉛の1日の摂取基準量は成人男性で11mg、成人女性で8mgとなっています。
亜鉛を多く含む食べもの
亜鉛の豊富な食べ物
肉類、魚介類、ナッツ・豆類に豊富に含まれており、特に牡蠣は100gあたり14.5mgと多く含まれています。
亜鉛の過剰摂取
通常の食事による、亜鉛の過剰摂取はあまりありませんが亜鉛の過剰摂取は銅欠乏、貧血、胃の不調などが生じることもあるため
成人男性で40〜45mg程度、成人女性で30〜35mg程度と設定されていますので、
サプリ等で亜鉛を摂る際は目安にされると良いかと思います。
亜鉛の不足
亜鉛が不足すると、遺伝子発現と呼ばれるタンパク質の合成がうまくいかなくなり成長時など新しい細胞が多く産生して欲しい時に足りないと成長障害がおこります。
また、細胞にダメージを与えて疲労のきっかけとなる活性酸素を除去するための酵素の構成成分でもあり、疲労にも関連してきます。
他には味覚を感じる味蕾細胞にも関与するため、亜鉛不足は味覚障害が起こることもあります。
亜鉛が不足しやすい人
下記の方は亜鉛が不足しやすい傾向にあります。
アルコールの多飲
アルコール摂取により亜鉛の排出量が増加し、アルコールの分解にも亜鉛が使われる為お酒をたくさん飲む方は、亜鉛が不足気味になりやすいため注意しましょう。
肉魚を食べない人、菜食主義
亜鉛は、肉類や魚介類に豊富に含まれておりを普段あまり食べない方は不足しがちです。また、菜食主義の方が一般に食べる豆類や穀類には亜鉛の吸収を妨げる化合物が含まれているいるため、亜鉛が不足しやすいです。
まとめ
冒頭で説明したとおり、脳の海馬と呼ばれる場所には亜鉛が高容量で含まれており、亜鉛不足は海馬の萎縮から機能低下を起こし、コルチゾールの分泌に抑制が効かなくなってしまい、結果として副腎疲労や慢性疲労を長期化させてしまいます。
ストレスフルな環境でコルチゾールを過剰に分泌している方や食生活に偏りがある方は亜鉛の必要量が増えてきますので、寝てもとれない慢性的な疲れを抱えている方などには意識的に摂取することをオススメします。