疲労と不調

質の良い睡眠をとる方法

しっかり寝ても疲れが取れない場合、時間では無く、質に問題を抱えている可能性があります。質の良い睡眠とるために必要な事の一つは「血糖値のコントロール」です。睡眠中の低血糖を防ぐことで、熟睡することができ疲れや不調から回復することが出来ます。

特に

  • 夜間何度も目が覚める
  • トイレに起きる
  • 起床時に首や腰が痛い
  • 悪い夢をよく見る

などの症状がある方は夜間に低血糖を起こし、睡眠時に交感神経優位の過緊張状態によって睡眠の質を落としていると考えられます。

今回は、夜間の低血糖と交感神経の過剰な緊張を簡単に予防する方法をご紹介します。

血糖値とは

糖は体のエネルギー源として重要な栄養素であり、基本的に食事によって取り入れます。
血液中にある糖を血糖と呼び、人の体には一定の濃度で血糖を保とうとする働きがあります。

例えば、肝臓は糖の貯蔵タンクの役割があり、血液内に糖の過不足が生じれば、必要に応じて肝臓から取り出したり、貯めておいたり出来るようになっています。

運動や仕事など活動する際は、血糖を取り出し血糖値を上げてエネルギー供給に使い
食事などで糖質を取りすぎて、必要以上に増えた場合は、肝臓に貯蔵して血糖値を下げるなどです。

こうして、基本的には必要量に合わせて血糖値を調整していますが、なんらかの理由で血糖値が高すぎるもしくは、低すぎる状態が続くと体に不調を及ぼしてしまいます。

睡眠時の血糖調整に働くホルモン

睡眠時で運動していなくても、代謝や細胞の修復のために体は活動しており、糖をエネルギーとして消費していきます。

睡眠時の血糖値を調整してくれるのは、主に「成長ホルモン」と「コルチゾール」と呼ばれるホルモンであり、睡眠の前半は成長ホルモンが、夜中から明け方にかけて後半はコルチゾールが血糖値を上げることで食事をしていなくても血糖値を安定させてくれています。

睡眠の質の低下を招く低血糖

睡眠の質においては、低血糖が問題となってきます。
夜間の血糖値を保てず、低血糖状態となった時に、冒頭の睡眠の質を落とすような症状が出てきます。

夜間の低血糖を引き起こす要因

夜間の低血糖を起こす主な要因として以下があります。

精製糖の過剰摂取による機能性低血糖

寝る前のスイーツや糖質中心の夜食などを摂っていると、精製糖の過剰摂取により血糖値の急上昇と急降下を起こす「血糖スパイク」によって機能性低血糖を起こします。また、普段から糖質中心の食生活をしていても、血糖スパイクが起きて低血糖症状が起きやすい状態となります。

アルコールの多飲

睡眠中は食事をしないので徐々に血糖値が下がってきますが、血糖値が下がってくると、肝臓から血中に糖を取り出す(糖新生)が行われます。
しかし、夜に酒類を多飲することによりアルコールの解毒が糖新生より優先されてしまいます。
アルコールの分解には数時間要するため、その間血糖値を保つ事ができず寝ているときに低血糖に陥ります。

コルチゾールの無駄使い

コルチゾールは深夜から夜明けにかけて血糖値を徐々に上げて覚醒に導いてくれるホルモンです。
しかし、強いストレスや慢性的な疲労により、日頃から抗ストレスホルモン(コルチゾール)が無駄遣いされていると枯渇してしまい、睡眠の後半でコルチゾールが分泌されず血糖値が上がってきません。

カテコラミンによる交感神経の緊張

上記のように低血糖を引き起こす生活習慣をしていると、特にコルチゾールの出が悪くなってしまいます。そうすると夜中から明け方にかけて、低血糖を起こしてしまいます。

そこで、低血糖が起こった場合に、コルチゾールの代わりとしてカテコラミンと呼ばれるホルモンが分泌されます。

カテコラミンは血糖値を上げてくれますが、それだけでなく自律神経に働きかけて交感神経優位の状態にしてしまいます。

交感神経は血圧、血糖、心拍数、心拍出量などを上昇させるような「闘争・逃走反応」と呼ばれる緊急時に備える体の反応を引き起こします。

それが夜間、安静にしている睡眠中に起こってしまうことで、夜中に目が覚めてしまったり、筋肉が緊張して起床時から肩こりや腰痛を感じたり、あるいは嫌な夢をみたりなどで熟睡が出来ず、睡眠の質の低下に繋がります。

夜間の低血糖予防するには蜂蜜がオススメ

ここでは、夜間の低血糖を予防する方法をご紹介します。

前提として、日頃から糖質中心の食生活や精製糖の過剰摂取をしている、アルコールを多飲しているなどの場合はそれらを控える必要がありますが

それでも睡眠の質が上がらない場合は、寝る前に蜂蜜(純粋はちみつ)をティースプーン1杯程度を舐めてから寝るようにしてみましょう。

蜂蜜(純粋)に含まれる糖は、素早く吸収されるが血糖値を上げにくく、緩やかに下降していく特徴があるため、機能性低血糖をおこしにくく血糖値のコントロールに向いている食品です。

蜂蜜を寝る前に摂る事で、夜中に低血糖を起こし、交感神経が優位になることなく朝までしっかり眠る事ができますので是非試してみてください。

ちなみに、加糖はちみつや精製はちみつは血糖コントロールには向きませんので、商品のラベルをよく見て、純粋蜂蜜や生蜂蜜と明記してあるものを選びましょう。

MCTオイルもオススメ

機能性低血糖の症状を予防するのに、MCTオイルもオススメです。

MCTオイルは糖質ではなく、中鎖脂肪酸と呼ばれる脂質のため直接的に血糖値には影響を与えませんが、代謝されるとケトン体と呼ばれるエネルギー源となってくれます。

通常、脂質をエネルギー化するには糖質よりも時間がかかりますが、MCTオイルは構造上、他の脂質に比べてすばやく分解・吸収されエネルギーとなってくれるため機能性低血糖の症状を予防することが出来ます。

こちらも、就寝前に摂ると睡眠の質の低下を防いでくれます。

MCTオイルは当院でも取り扱いがありますので、気になる方はお気軽にお問い合わせください。

ABOUT ME
恩田陽輔
鍼灸師。 慢性的な不調や痛みは、疲労の蓄積による回復力を失っている状態と考え、鍼灸治療だけでなく疲労を取り除くためのストレッチやエクササイズ、栄養の知識なども治療プログラムに組み込んで提供しています。 【認定、修了】 ・FMS/SFMA ・Reformer For Motor Learning ・臨床ドライヘッドスパ協会認定