疲労回復を促すためにまず取り組むべきことの一つが睡眠不足の解消です。
睡眠不足は慢性疲労だけでなく、腸内環境の悪化、肥満、2型糖尿病、高血圧、自律神経失調、精神状態への影響など様々な病気のリスクが上昇するため心身ともに健康に及ぼす影響が大きい。
そのため睡眠不足を改善することは健康的な生活を送るうえで非常に重要と言えます。
ここでは、疲労回復を促し、朝元気に起きることが出来る睡眠のポイントを「時間編」「質編」「規則性編」の3回に分けて紹介していきます。
理想的な睡眠に必要なもの
疲労回復を促す理想的な睡眠に必要なのは
- 「量」=時間
- 「質」=睡眠休養感
- 「規則性」=リズムを整える
睡眠休養感とは、「良く寝た」「疲れが取れた」という主観的な感覚のことで、ここが問題になっている人が多く、睡眠の質に直結するところです。
しかし、まず大前提として理解しておきたい事は、睡眠においては「量」の上に質が成り立つということです。
治療院での施術やサプリメントの摂取など、睡眠の質を高めるための介入をどんなに行ったとしても睡眠時間が短くてはその効果は得られないと言っても良いでしょう。
目指すべきは最低限の時間を確保しつつ、睡眠休養感を高めること。
まずは必要な睡眠時間を確保し、寝つきの改善と中途覚醒の回数を減らすための食生活を変容させ「質」の向上を図る。さらに生活リズムを整えることが出来ると、夜に自然と眠気を感じ、熟睡できることで疲労回復が促されて、朝元気に起きれること間違いなしです。
睡眠時間は最低6時間
成人の場合、6時間を最低ラインとして7〜8時間は必要です。
その中で最適な睡眠時間は個人差があるのでなかなか決めることが難しいですが、健康やパフォーマンスを保つためにはどれだけ短くても6時間の最低ラインを割らないように注意しましょう。
上記の繰り返しとなりますが、睡眠時間が5時間以下になることで腸内環境悪化、肥満、2型糖尿病、高血圧など様々な病気のリスクとなることが分かっています。
睡眠においては「量」の上に「質」が成り立ちますので、まずは必ず最低6時間は睡眠時間を確保するようにしましょう。
睡眠サイクル
睡眠ではノンレム睡眠とレム睡眠が交互に訪れる睡眠サイクルというものがあり約90分周期で変動し、8時間睡眠では4回〜5回のサイクルが生じます。
ノンレム睡眠は深い睡眠で体を休め疲労回復を行っている、レム睡眠は浅い睡眠でこの時に夢を見ているというのはご存知の方も多いとは思いますが、もう少し詳しくいうとノンレム睡眠にも浅い深いがあります。
ノンレム睡眠の段階
ノンレム睡眠の深さはN1〜N3の3段階(もしくはステージ1〜4の4段階)で表され、N1が最も浅く、N3が深い睡眠となります。
- N1:最も浅い段階。N1が長いと睡眠休養感がへってしまう
- N2:深い睡眠へ入り始めた段階。学習や記憶の定着に重要
- N3:徐派睡眠とも呼ばれる深い睡眠。組織の修復・成長、免疫システムを強化する段階。
N3がしっかりとれると睡眠休養感が増え、疲労回復に繋がります。
また、N3までの深いノンレム睡眠は睡眠の前半に訪れますので特に就寝後3〜4時間が非常に重要となってきます。
そこから徐々に浅くなっていくことで朝の起床につながります。
厚生労働省 生活習慣予防のための健康情報サイト e-ヘルスネットより画像を引用
深い睡眠には習慣と環境が重要
N1の時間を減らし、N3まで深く眠るためには生活習慣と環境設定が重要です。
- 就寝前から徐々に部屋を暗くして寝るときには真っ暗にする
- 寝室にスマホは持ち込まない
- 部屋の温度を涼しく快適に保つ
- 朝に朝日を浴びる
- 日中ウオーキングなど有酸素運動を行う
などすぐに取り組めることも多いので是非実践してみてください。
つい寝室に入ってからスマートフォンなどでSNSなどを見てしまいがちですが、スマートフォンなどのデバイスの光は強く、脳が覚醒してまうため注意したいところです。寝室は寝る為だけの場所と割り切りましょう。
まとめ
良い睡眠は「量」の上に「質」が成り立ちますので、まずは6時間以上確保する。
また、いかにノンレム睡眠のN3まで深く睡眠を落とし、N1の時間が長くならないようにするかは寝室に入るまでの生活習慣や環境設定も非常に重要です。
そして、近年睡眠障害への鍼灸論文は世界的に増加傾向にあり鍼灸治療の有効性も注目されてきております。
「寝ても疲れがとれた気がしない」、「うまく眠りにつけない」など睡眠に関してお困りの方は、鍼灸治療も試してみてはいかがでしょうか。