普段、無意識的におこなっている呼吸を意識的にコントロールすることで、副交感神経を刺激して体を疲労回復モードに切り替えることが出来ます。
呼吸は普段、自律神経という神経に支配されており、生活の状況に合わせて量や回数が無意識に調整されているのですが、意識的にコントロールすることも可能であり、呼吸によって自律神経を調整することも可能だと言えます。
吸う、吐く、止める
疲労回復を促す呼吸の方法はシンプルで
①鼻からゆっくり静かに吸う
②口から「ハーッ」と吐く
③息を止める
まずは、この吸う→吐く→止めるの順で各5秒ずつおこないます。
たったこれだけです。
もし、5秒ずつで苦しくなければ、次に吐く時間だけ8〜10秒長くしましょう。
息を吐くときに副交感神経が優位になる
じつは、呼吸は吸うときと吐くときで自律神経の働きが切り替わります。
息を吸うときは体が「活動・緊張モード」の交感神経優位に
息を吐くときは「リラックス・疲労回復モード」の副交感神経優位に切り替わるようになっているので、″息を吐く”時間を長くとることで意識的に副交感神経の働きを優位にすることが出来るのです。
肋骨の動きを意識する
呼吸のやり方の次に大事なポイントは、肋骨の動きを意識することです。
肋骨は肺の周囲を囲むように覆っており、呼吸に合わせて広がったり閉じたりします。同時に肋骨の内側についている横隔膜も呼吸と連動して上下しています。
しかし、普段から疲れやすかったり、体がいつも緊張状態だったりする人は息を吐いたときに肋骨が下がらない、あるいは下がりにくいという特徴があります。
また、肋骨が上がった状態で固まってしまい下の画像のように常に肋骨が飛び出しているように見えることもあります。
肋骨が下がらないということは、息を十分に吐き出せていないということですので、副交感神経を十分に刺激できない可能性があります。
それでは、もったいないので息を吐く時はしっかり肋骨がさがっているかを確認するために両手を肋骨の上において呼吸と連動してしっかり動いているかをモニタリングしながら行うようにしましょう。
上手に息を吐けると、肋骨の上に置いた手がおへその方向へ降りていきます。
息の吐き方は基本的に「ハーッ」と吐きますが、気合を入れて吐き出すというよりは力を抜いて溜息をつくようなイメージでゆっくり息を吐いていくと上手くいくと思います。
止めることで呼吸数を減らす
ここまで、疲労回復を促す呼吸の仕方を説明してきましたが、吸う→吐く→止めるの「止める」のタイミングがあるのは何故かと聞かれることが多いので説明します。
理由は、息を止める時間を作ることで呼吸数を減らすことが出来るからです。
疲れやすく、体が緊張状態にある人は、速く浅い呼吸となっていることが多い傾向にあります。逆を言えば、呼吸が浅く速くなると体が緊張してくるということです。
それを吸う、吐く、止めるを5秒間ずつゆっくり行うと、1呼吸で15秒かかるので1分間に4回の呼吸数となります。
これくらいゆっくり深い呼吸を行うことで、副交感神経が働きだして体がリラックスし、「疲労回復モード」に切り替わってくれます。
終わりに
いかがでしたでしょうか。疲労回復を促す呼吸は道具も不要で、とても簡単にできます。回数はとくに気にしなくても大丈夫です。寝る前に布団の中で静かにゆっくりおこなうと自然と眠くなってくると思いますのでそのまま寝てしまいましょう。
翌日はいつもよりスッキリ起きることが出来ると思います。