副腎疲労から回復する栄養編①、②では摂取する糖質と脂質の「質」を変えることで副腎への負担軽減と栄養素の無駄遣いを減らすという考えをご紹介しましたが、補給編の今回はしっかり補うべき栄養素をご紹介いたします。
もくじ
補うべき栄養素
臓器の機能を栄養で改善しようとする際に、その臓器そのものに高濃度に含まれる栄養素を補って回復を促進するという考え方があります。
副腎の場合は
- マグネシウム
- ビタミンB5(パントテン酸)
- ビタミンB6(P5P)
- 亜鉛
- ビタミンC、E
などです。
中でも副腎疲労に改善に特に重要なのはマグネシウムとビタミンB5(パントテン酸)です。
副腎疲労の特効薬「マグネシウム」
マグネシウムはビタミンB5やビタミンCと連携して副腎のサポートをしたり、エネルギーを生み出す為に必須である酵素を活性型に変換したりなどの働きがあり「副腎疲労の特効薬」などとも呼ばれています。
マグネシウムは豆類、ゴマ・ナッツ類、海藻類などに多く含まれていますのでひじきや納豆、ほうれん草の胡麻和えなど副菜で補いたいところです。調味料では天然塩(自然塩)と呼ばれる未精製の塩にも含まれているのでそれらを積極的に摂取すると良いです。
しかし、ソーセージやハム、冷凍、レトルト、インスタントなどの加工食品などに含まれるリン酸塩と結合するとマグネシウムの吸収が阻害されてしまうことが分かっています。
また、機序は定かではありませんが飽和脂肪酸や果糖によっても吸収が阻害されるとも言われています。
さらに、急性ストレスは血中(血清)のマグネシウムレベルを引き上げ、尿中への排泄を増加させるため、長期に渡るストレスによってマグネシウム欠乏が引き起こされます。
手軽に補給する方法として、「にがり」があります。にがりはマグネシウムそのものであり、味噌汁などに数滴入れて補給することもオススメです。
お近くのスーパーにも割と普通に売られているので是非探してみてください。
マグネシウムに関しては過去のコラムでも書いておりますのでご参照ください。
ビタミンB5(パントテン酸)
ビタミンB5(パントテン酸)はエネルギーとなるATPの生成に必須のビタミンであり、副腎皮質ホルモンの分泌にも必須となる重要な栄養素です。
パントテンとは「どこにでもある」という意味であり、多くの食べ物に含まれているため欠乏することは少ないと考えられていますが、副腎疲労を引き起こすほどの高ストレス下においては著しく必要量が高まります。
副腎疲労から回復を目指す摂取量
一般的な推奨摂取量 | 回復に必要な摂取量 | |
ビタミンB5 (パントテン酸) | 5㎎ | 1000〜1500㎎ |
ビタミンB6 | 1.2㎎ | 50〜100㎎ |
ビタミンC | 100㎎ | 2000〜4000㎎ |
マグネシウム | 370㎎ | 400〜500㎎ |
亜鉛 | 10㎎ | 20〜40㎎ |
その他、ビタミンB6やビタミンCなども副腎疲労から回復しようとすると食事だけでは補えないほどの量が必要となってくる為、サプリメントを上手に使っていく事も必要です。
とくにビタミンB5(パントテン酸)、B6に関しては食事やビタミンB群サプリでも補えない量ですので単独サプリでの摂取が必要かと思います。
マグネシウムにおいては一般的な推奨摂取量と必要量にそこまで開きがないように見えますが、上記のように果糖などの精製糖の過剰摂取や、加工食品などによって容易に排泄されてしまう為、現代人の生活習慣では意識的に摂取したい栄養素となります。
副腎回復ハーブ「アシュワガンダ」
アシュワガンダは古代インドのハーブであり、虚弱性に対しる強壮剤として使用され抗炎症効果も発揮します。
副腎とその機能へ直接的に回復効果をもつハーブとされており、アシュワガンダは副腎皮質ホルモン濃度が高すぎる場合も低すぎる場合も正常値へ戻す働きがあります。
こちらはハーブサプリとして市販されています。
抗炎症+エネルギ―源「MCTオイル」
副腎疲労からの直接的な回復ではありませんが、疲労系の症状に悩む方にオススメしたいのは「MCTオイル」です。
MCTオイルは中鎖脂肪酸と呼ばれる種類の脂質、つまりアブラです。
中鎖脂肪酸は他の植物性油に比べて消化吸収、分解がスムーズに行われ、素早くエネルギー源となってくれる点と、抗炎症作用を持っている脂肪酸という特徴があります。
副腎疲労となりやすいの方の食事の特徴として、
- ・精製糖の過剰摂取による血糖値スパイクを引き起こし「機能性低血糖」に陥りやすい
- 飽和脂肪酸やオメガ6系の脂肪酸の過剰摂取による炎症体質となる
などがありました。
機能性低血糖は文字通り血糖値が低く、エネルギー供給が安定しなくなっている状態です。
低血糖になると、副腎皮質ホルモンが分泌され血糖値の維持を図りますが副腎疲労状態だとそのホルモンが分泌されにくくなっているため低血糖を改善できず強い疲労感を感じます。
また、飽和脂肪酸やオメガ6系の脂肪酸の過剰摂取によって細胞の炎症を引き起こすメカニズムがあり、それによって炎症を起こしやすい体質となってしまいます。
炎症を抑制するためには副腎皮質ホルモンが使われてしまいますので、副腎にかかる負担も増大します。
そのどちらの問題にも対応できるのがMCTオイルです。
無味無臭なので、サラダにかけたり味噌汁やスープに入れるなど手軽に取り入れることが出来ます。
まとめ
副腎疲労から回復するための栄養として、これまで紹介してきたように
- 摂取する糖質と脂質の質を変える
- そうすることで栄養素の無駄遣いと副腎の負担を減らす
- 副腎に高濃度で含まれる栄養素を意識的に補う
- 足りない分はサプリやハーブで補う
などで食事の内容を見直すとともに、低血糖症状が強い方はMCTオイルを上手く活用してサポートをしてあげるとより早期に回復することが望めます。
現在、MCTオイルに関しては当院で取扱いを検討しておりますので、準備が整いましたらまた詳しくご紹介させて頂きます。