寝ても取れない疲れを取るには自律神経のバランスを整えることが必要です。なぜなら、疲労が長期化すると「脳」が機能低下を起こし、自律神経のコントロールが効かなくなってしまうからです。
ここでは、自宅で簡単に出来る自律神経調整法を使って、寝ても取れない疲れを取るための方法をご紹介します。
疲労とは
疲労とは、様々なストレスによって細胞が「酸化」し傷ついてしまった状態です。細胞が疲労(酸化)する場所は手足や臓器などの「末梢」と、脳や脊髄などのに「中枢」分けられます。
細胞の疲労(酸化)が末梢に起これば、筋肉痛や脚がだるいなど局所に症状が出てきて、中枢に起これば、倦怠感、集中力低下、物忘れ、微熱など全身性に症状が現れてきます。
また、末梢の疲労も長期化すれば次第に中枢の疲労となってきます。
疲労が長期化すると自律神経のバランスが崩れる
自律神経の大元は脳にあるため、疲労が長期化して中枢が疲労してくると、自律神経のコントロールが効かなくなりバランスが崩れてしまいます。
多くは、体を活動させるための交感神経は過活性になり、体を回復させるための副交感神経は不活性となるバランスの崩れ方をします。
寝ても疲れが取れないのは、疲労が長期化して中枢が疲れた結果、自律神経のバランスが崩れて、本来寝ている時に働いて欲しい副交感神経が働かずに体を回復させることが出来なくなった状態です。
そのため、寝ても取れない疲れを取るには自律神経のバランスを取ることが必須となってきます。
自律神経を整える方法
自律神経のバランスをとるには、
①交感神経の抑制
②副交感神経の活性
の順番で行うことがオススメです。
交感神経の抑制
交感神経の抑制する方法には、「ストレスの量を減らす」ことと、「フィルタリング」があります。
〇ストレスの量を減らすとは
仕事、筋トレ、ランニング、人間関係、喫煙、アルコール、周囲の環境など様々な要素がストレスとなり得ますが、まず可能な範囲でストレスの量を減らしていきます。
〇フィルタリングとは
五感(強い光、音、触覚、臭い、味)のブロックを行うことです。フィルタリングはかなり交感神経の緊張が強く、外出するのも困難な場合に用いられます。
例)濃い味や刺激物の摂取を避けて、真っ暗な部屋で耳栓をして、極力柔らかい毛布や寝具を使用して横になって休むなど
なかなか、そこまで徹底するのも難しい場合があるので、現実的な例としては、
- 食べ物はできるだけ香辛料、カフェイン、アルコール、精製糖(お菓子やジュース)を避ける
- 寝る1〜2時間前には入浴を終え、部屋の照明を少し暗くして、テレビやスマホの使用を控える
- 就寝時は肌さわりの良い毛布などにくるまって寝る
などでしょうか。疲れを感じている時はこれらを意識して交感神経の緊張を押さえていきましょう。
副交感神経の活性
副交感神経の活性には、「呼吸法」と「お腹を温める」がオススメです。
〇呼吸法(とくに息を吐く)
呼吸を意識的に調整することで、自律神経にも作用させることが出来ます。
具体的には、吸う息で交感神経を、吐く息で副交感神経を刺激すると言われているため、息を吐く時間を長めにしてゆっくり静かに呼吸を行うと良いでしょう。
また、息を吐いたあとに4〜5秒ほど息を止める時間を作るとより副交感神経を刺激できるとの研究もあるようです。
そのため当院では、「吸って」→「吐いて」→「止めて」を5秒ずつ繰り返す呼吸法をオススメしています。
〇お腹を温める
お腹を温めるとは、腹部の内臓は「迷走神経」と呼ばれる副交感神経に支配されているため、お腹を温めると迷走神経を刺激して副交感神経を活性化することが出来ます。
また、単純にお腹を温めると気持ちが良いのでリラックス効果も得ることが出来ます。
お腹を温める方法としては、ペットボトルにお湯を入れておへその上に置いておく方法や、最近ではレンジで温めるホットパックなども市販されているので是非お試しください。
終わりに
以上が寝ても取れない疲れを取るための自宅で簡単に出来る自律神経調整法です。これら全てを完璧にやる必要はなく、普段の生活を見直して出来そうなところから始めるのが疲労回復の第一歩となりますので、無理せずに出来るところから試してみてください。