頑固な肩こり、手足の冷え、寝ても取れない疲れなどにお悩みの方に、
「お灸」がオススメです。お灸には温熱効果だけでなく、鎮痛や免疫力向上リラクゼーションなど様々な効果があります。最近では、煙の少ないタイプや火を使わないタイプのお灸もあり、ご自宅でのセルフケアとしても活躍してくれます。
もくじ
お灸の歴史
まずはお灸の歴史を簡単に説明しておきます。
お灸は中国が発祥であり、約2000年前の医学書にも記載がある古い治療法です。日本には6世紀後半から7世紀に伝わったとされており、当時は身分の高い人しか受けることができない高級な治療だったようです。
江戸時代になると、一般庶民にも広がり、民間療法として長く愛用されてきました。
しかし、明治時代に入り西洋医学が導入されるようになり、少しずつお灸など東洋医学は衰退していき、第二次世界大戦後はさらに後退していきました。
ですが、近年になり西洋医学ではなかなか改善しない慢性的な症状に対して東洋医学が見直されるようになり、かつて日本人に愛用された「お灸」に注目が集まりつつあります。
お灸の効果
では、「お灸」には具体的にどのような効果があるのでしょうか?
おそらく一般の人のイメージは「熱そう」とか「昔のしつけの為のもの」という程度しか認識はされておらずどちらかと言うとネガティブなイメージが先行していると思いますが、実はお灸には体にとって有益な効果がたくさんあります。
温熱効果
まず1つ目の効果は、何といっても「温熱効果」です。
お灸の熱により温められると冷えがとれて、関節や筋肉が緩んできます。
また、「温かい」という気持ち良い感覚は、快感や喜びを感じる「ドーパミン」というホルモンや、幸福や安心感を得る「セロトニン」というホルモンが分泌されるため、精神的にもリラックスする事が出来ます。
炎症や痛みを抑える事が出来ず、症状が慢性化してしまっている方は、痛みに対してのハードルが下がってしまい、少しの刺激でも痛みを感じるようになってしまいます。
しかし、ドーパミンやセロトニンなどのホルモンは痛みを感じる神経を麻痺させるため、関節痛や腰痛など慢性的な症状に悩まされている方にもお灸はオススメです。
免疫力向上
次の効果は「免疫力向上」です。
温熱刺激により局所のタンパク質が変性して「ヒストトキシン」という異種タンパクが産生されて、これを白血球が取り込む事により免疫系が活性化して、白血球の数が増えて、疲労物質や痛みを誘発する老廃物など不要な物質を除去してくれます。
この効果により、お灸をメンテナンスとして取り入れると、「免疫力が上がり」「疲れを溜めにくく」「体調を崩しにくい」体にする事が期待できます。
鎮痛、抗炎症効果
さらに、お灸の成分である「もぐさ」に含まれる精油「チネオール」には抗炎症、鎮静、鎮痛などの作用があり、その香りはダイレクトに脳を刺激し効果を発揮します。
どうでしょうか?少しはお灸に対してポジティブなイメージが湧いていると嬉しいのですが。
セルフケアには台座灸がオススメ
でも、やっぱり熱そうだし火傷などが心配。という方もいらっしゃると思います。
そんな方には、薬局などでも市販されている「台座灸」がおススメで、商品としては「せんねん灸」などが有名です。
台座灸は直接皮膚の上にお灸を乗せるのではなく、もぐさ(お灸)が台座と呼ばれる物の上に乗っているので、皮膚との間に空間があり、間接的な熱で温めるようになっています。
台座灸はほとんどの商品がシールで貼り付けられるようになっており、便利なので、実際に私たち鍼灸師も初めてお灸をする患者さんの治療の時などに用いたりしています。
さらに最近では
- もぐさにアロマの香りを混ぜた匂いの良いタイプ
- ほとんど煙や臭いのでないタイプ
- 火を使わず、皮膚に張ったまま外出できるタイプ
- カイロのような使い方が出来て、広い面積を温めるタイプ
などご自宅の使用やセルフケアとしても使いやすいお灸も沢山出てきていますので是非、体調管理の一環としてお灸を取り入れてみてください。
Myツボを探そう
また、どこにお灸を据えたら良いか分からないので教えて欲しいとのご質問をよく頂きます。
セルフケアとしてお灸をする場合、ツボの場所がハッキリ分からないこともあると思います。
私のオススメの方法は、あまり難しく考えずに、まず手のひら全体を使って腕や足の表面を「スーッ」と軽く撫でるように滑らせていき、他の場所と比べてカサついている場所や、くぼんでいる場所、冷たく感じる場所などを探してみましょう。
他と違う感じがある場所を見つけたら、そこがあなたにとってのツボ「Myツボ」ですので、お灸を据えてみてださい。
お灸は主に温熱効果を使って、血流の滞りを改善し、体全体の巡りを良くすることで筋肉の緊張を和らげたり関節の動きを良くしたりする効果を狙いますが、皮膚表面のカサつきや冷え、くぼみなどがある部位はまさしく血流の滞りがある場所であり、絶好のお灸ポイントとなります。
熱さを我慢する必要はない
もう一つよくあるご質問として、多少、熱さを我慢しなければ効果はありませんか?と聞かれます。
これは、目的によって少し変わりますが、基本的にセルフケアとしてご自身で行う場合であれば熱さを我慢する必要はありません。温かく気持ち良いと感じるお灸を楽しみましょう。
治療において、痛みを止める目的の時には、一瞬「チリっ」とする程度の熱刺激を加えることはありますが
筋肉のコリや冷えなどに対して、台座灸などを使用する場合は、熱いと感じたらそこでお灸を外して大丈夫です。
何となく「チクチク」する、「かゆい」などの感覚もお灸終了のサインです。
反対に、お灸の火が消えるまでやっていても何も感じない場合は、続けて3回までは同じ場所にお灸を据えてもOKです。
頻度としては毎日やっても大丈夫ですが、3日続けて一日休んだり、週末に行うのでも良いと思います。
無理のない頻度で、リラックス出来る時間帯で、日頃の疲れを労わる時間としてお灸タイムを作ってみてはどうでしょうか。
本格的に治療を受けたい場合は鍼灸院へ
お灸の良さは、セルフケアとしてご自宅でも出来るところですが、
- いつも忙しく疲労困憊でとてもお灸をする時間や気力が無い
- 腰や背中など自分でお灸をするのが難しい
- 専門家にじっくり治療してほしい
といった方には是非、お近くの鍼灸院でお灸治療を受けてみてください。
当院は、予約制ですので症状やお悩みに対して1対1でしっかり時間をかけて丁寧に治療させていただきます。